看護観小論文 —「選ぶ力」を支える看護— 予(要約) 患者の尊厳を守る看護とは、「選ぶ」という小さな自由を支え続ける営みなのかもしれない。 定(定義) 「選ぶ」という尊厳を支えるためには「自律尊重」の倫理が大切な規範となっている。「自律尊重」とは、医療倫理の四原則「自律尊重」「善行」「無危害」「正義」のひとつであり、医療従事者がどのように対処すべきかを示す指針とされている。 って(問題提起) 果たして、私たちはすべての患者に対して、本当に「選択肢」を提示できているだろうか。日常業務の中で、忙しさや習慣に流され、患者の声を聴き逃してはいないだろうか。 確か(逆説) 確かに、精神科看護ではリスク管理や治療の継続性が優先される場面も多く「安全のための制限」は必要である。しかし、それが対話や倫理を損なってはならないと考える。 以前から(以前) 以前、私の父が精神科に入院していた際、時計を見たいがために隔離室の扉を蹴っていたという話を聞いた。小さな望みさえ伝えられなかった経験が、患者の疎外感につながることを学んだ。以来、私は患者の言葉にならない訴えにも耳を傾けたいと願い、看護を続けている。 毎(マインド) 「安全のための制限」は、患者を守るための方法であり、自由を閉ざすための牢屋ではない。看護師は「安全」の名のもとに患者から声と選択肢を奪う存在であってはならない。看護師は「選択肢を提示し、選ぶ力を支える存在」であるべきだ。 回(解決策) この問題を解決する方法として、一方的な指示ではなく、アイメッセージで自身の考えを伝え、対等な対話を心がけることが有効だと考える。「私は〇〇さんに、△△を希望されていると感じています。〇〇という方法を試みてもよろしいでしょうか」といったアイメッセージは、患者さんに選択肢を提示し、自己選択を尊重したケアに繋がるであろう。 スカスカ(数値や格言) 「The Most Important Person In This Hospital is the Patient.(この病院で最も大切な人は患者さんである)」という理念を掲げる肥前精神医療センターには、業務効率を超えて倫理を重視し、患者中心の姿勢を貫く強い意思が感じられる。この姿勢は、私の看護観と深く共鳴している。 だ(ダークサイド) もちろん、すべての患者が選択肢を理解し、自ら選べるわけではない。認知機能や病状による制限もある。しかし、それでも「その人なりの選び方」があると私は信じている。選ぶプロセスを支えることこそが、信頼と尊厳につながると思う。 っけ(結論) 私は「選ぶ力」を支える看護を、肥前精神医療センターの理念のもとでさらに深めたい。そして、その声に耳を傾け、ひとり一人のこころに寄り添い続ける看護師でありたい。