「学びを組織の力に」—研修後の要点共有による知識の定着と活用 目標チャレンジシートにおいて、法人より地域医療に対する理解の推進、看護部より 業務の効率化と在宅部門との連携強化の目標が設定された。これを受けて教育委員である私は、病棟勉強会・院内研修への参加促進と学びの定着支援のために、研修後の要点まとめを全員に共有することが有効と考え、個人目標に設定した。 看護教育とは、看護職が専門職としての知識・技術・態度を習得し、科学的根拠に基づく看護実践を行いながら、生涯にわたり自己研鑽し、質の高いケアを提供する能力を育成するための体系的・継続的な学習支援のことである(日本看護協会『看護職の生涯学習支援指針』『看護職のキャリア開発ラダー』『看護職の現任教育の手引き』)。 果たして、研修後に学んだ内容を要点としてまとめ、職員全員と共有することは、学びの定着を促し、病棟全体の知識の底上げにもつながる有効な手段となるのであろうか。 確かに、研修に参加すること自体が学びの機会となる。しかし、研修内容が共有されないままでは、他の職員にとっては学びの機会にならず、病棟全体の知識として蓄積されにくいと考える。 以前、ある院内研修で医療器具の洗浄方法についての指針が紹介されたが、参加者のみの理解に留まり、共有がなされなかったために、現場での対応にばらつきが生じたという事例があった。 学びは個人で終わらせるべきではなく、チーム全体で共有・活用すべきである。 この問題を解決する方法として、研修参加後に「要点まとめ」を作成し、職員掲示板や配布資料を通じて共有する仕組みを導入することが有効であろう。 ある調査では、学習内容を自分の言葉で他者に説明することで記憶定着率が最大90%に上昇するという結果が報告されている(ラーニングピラミッド理論より)。また、「教えることは二度学ぶこと」という言葉にもあるように、要点共有は発信者の学びも深める。 ただし、共有の質が低いと誤解を招いたり、業務負担と感じられることもある。そのため、共有内容は簡潔にし、形式は統一するなどの工夫が必要である。 結論として、研修後の要点を全員で共有することは、学びが個人から組織へと広がり、実践知として根付きやすくなると考える。病棟全体の成長を促すこの仕組みを積極的に取り入れ、たとえば、勉強会での議事録サインの確実な増加にもつなげていきたい。 3病棟 看護師 牛根